このお宅は8代にわたり古くから瓦の製造に携わってこられた老舗です。
500坪余りの敷地にがっちりした構えの母屋があり、何の問題もない屋敷ですが、代々受け継がれてきたその屋敷を元の形に戻しながら、平成の時代に使いやすいよう、構築したいという願いを条件に再生したものです。
民家再生となれば、それなりに伝統技術を継承するレベルの職人たちを捜し求めることから始めるのですが、幸いにも建主の懇意にしておられる建設会社がそうした高いレベルの職人をかかえた集団であることがわかり、お願いすることとしました。
合理的経済性を追求する社会のなかでひたすら職人気質をもってとりかかってくれる建設会社は多くありません。
設計をするものにとっていつもそれが悩みの種です。
しかし今回その建設会社の社長以下、肌の合うもの同士が集まり、よい意味での職人気質により”かけあい”ができた成功例です。
計画の基本は建築としてできるだけ過去に増築していった部屋を、もとになる柱を残し、当初の有様としたいこと、外構、庭園、門は新しくしたいこと、家族構成から3世代住宅住宅とすること、できるだけ昔の土間の雰囲気を残すこと、等でした。
民家再生は過去にどのような技をつかい構築したか、そのことが大きく次の仕事にのしかかります。
その技を知り設備等を決めるのに大変な苦労がありました。
撮影:相原功
碧南市は隣接の高浜市同様、主要産業として瓦を製造しています。
昔は数十軒の瓦工場があったが伊勢湾台風以来、火鉢や植物用の鉢を生産するものが瓦工場に切りかわり、今では全国でトップレベルのシェアを示しています。