碧南市は西三河の海より知多半島側に近い所に位置しています。
このお宅は現在住んでおられる居間、食堂の西側の約100坪ほどの敷地に接客を兼ねた茶室として建築されました。
ご主人が昔、京都におられたこともあって、全体に京都風の数寄屋として設計しました。
玄関を中心に東へ立礼を兼ねた応接室、洗面所、そして和室8畳と続き、西には書院のある広間の茶室8畳、さらに奥には水屋と3畳台目小間の茶室へと続いています。
さらにこの家の中央に露地を配し、そこから小間のにじり口へと導かれていくように設計されています。
この茶室は、禅の言葉の中にある“年々不捨”ということわざを引用し、「不捨庵」と命名されました。
ここの亭主のひたむきで純粋な心が表されているような茶室です。
住宅建築1989年8月号掲載
撮影:相原 功